
皆さん、こんにちは!いかがお過ごしですか?
はしだ歯科医院、院長の橋田望です。
前回はとても硬い歯にも、ひびが入ることをご紹介しました。今月は50歳以降に多くみられる、「歯根破折(しこんはせつ)」という、歯の根っこがひび割れることなどほとんどありません。歯根破折は、ひどいむし歯のために、やむを得ず歯を大きく削って歯質が薄くなった上、神経を取った歯に多くみられます。
現在でも抜歯の二大原因はむし歯と歯周病ですが、最近は神経を取ってから10年以上経過した歯の歯根破折が原因となって抜歯する割合が増えてきました。
歯の神経を取るということは、歯への栄養を送る細かい血管まで取ることになるので、歯は徐々にもろくなります。さらに次の要因が重なると歯根破折を起こしやすくなります。
①根っこを取った後、被せ物をするための土台を金属で作成した場合、噛むときに根っこの特定の部位に集中して過大な力が加わる。
②うっかり硬いものを”ガリッ”と噛む、就寝中の歯ぎしりや無意識に歯を食いしばる。噛み癖は、社旗的地位や立場等によってストレスが増えることも関係している。
折れた部分には細菌感染が起きていることが多いので、既に神経を除去している歯でも噛んだときに違和感や痛みを感じます。その他には、歯がぐらつく、歯ぐきが腫れる、歯ぐきにおできがのような膿の出口ができるといった症状が見られます。
根っこの破折の程度と炎症の状態によって適切な治療方法を選びます。破折や細菌感染による炎症が小さい場合、再度根っこの処置をして歯を残す治療を行います。しかし破折してから長期経過している場合は、残念ながら抜歯することになります。抜歯した箇所は入れ歯やブリッジ、インプラントで歯を補います。
神経を抜かなければ破折はまず起きないので、神経を抜かなくてはならないほど大きなむし歯にしないことが一番の予防法です。また細菌は金属製ではなく、弾性のあるグラスファイバー製の土台を用いることで破折しにくいことがわかっています。